カール・シューリヒトは、偉大な音楽家であった。その指揮壇に立った力溢れる姿が、我々の眼に与えた喜び、
そして、その何倍も大きく、我々にその演奏を聴いた時の感激を、まざまざと想い起こさせてくれる、そんな
すぐれた音楽家の一人なのだ。
私の長い音楽生活の中での、もっとも実り多い時期のいくつかは、彼の人間性と、そのベートーヴェン作品集の
すぐれた解釈に啓発されたところが大きい。
ここでその感謝の気持ちを述べる機会を与えられたことは、幸いであった。
日付がシューリヒト生前にあたるため、追悼文として書かれた手紙ではありませんね。