最終更新日 2005.1.30

素木しづと森田たま


 どちらも当偏奇館の住民ですね(笑)。
 二人とも北海道出身で、小学校の同級生でした。時期こそ違え、上京して森田草平門下に入ったのも同じ。そうした深いつながりもあって、森田たまは「素木しづ作品集」(北書房)に序文を寄せています。森田たまの随筆の中にも、素木しづについて言及したものがあります。
「絹の随筆」の中の「美しい友情」もそのひとつです。読んでみると、ふたりは親しい友ではあっても、仲良しというわけではなかったようです。そのあたりの微妙な違いを、いくつかのエピソードを交えて浮き上がらせています。そして最後に、たまはこう書いています。
 美しい友情、――その言葉の前に私はくちびるをかみしめる。一人の友をも愛し得なかった虚しさが、私の心をかむ。自分はよくよく冷酷な人間なのであらうか。
 私は、森田たまには、たとえ相手が友人であっても、客観的な眼でみる習性がついていたのではないか、と考えています。そしてその客観性こそが、幾多の素晴しい随筆という実を結ばせる源であったのではないか、と。


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