山根銀二「音樂の旅」

岩波書店刊 昭和31(1956)年

山根銀二について(Wikipedia


ザルツブルクのモーツァルト祭(170頁)
 ……夜はカール・シューリヒトがウィーナー・フィルハルモニカーを指揮してハフナー交響曲その他をやった。これも素晴しい。どの音符も生きてピチピチはねかえり、われわれを突き刺してくる。あの豪毅なテーマの颯爽たる弾きぶり。もう一度ウィーン・フィルの優れた性能に心を打たれる。シューリヒトはもう七十歳を越える老指揮者だが、その鋭く音楽的な棒のさばきには感歎せざるをえない。それはたしかに私がヨーロッパで聴いた最優秀な演奏の一つであった。 …

東独見学(186頁)
 十二日にはシューリヒトの指揮でベルリン・フィルの演奏会。ベートーヴェンの第三交響曲を独特の鋭さと強さでやる。これにはまいってしまった。この爺さんただものでない。なぜ、あまりもてはやされないのであろうか。

情報提供:小西邦雄さん


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