アタウルフォ・アルヘンタとのエピソード (2)

Courtesy Ms. Pilar O'Connor Blasco and Mr. Fernando Argenta


これは今は亡きスペインの偉大な指揮者アタウルフォ・アルヘンタの御子息フェルナンド・アルヘンタ氏が教えてくれた逸話です。 詳細に関しては不明の点もあり、シューリヒト夫人に確認したいとのことですが、おおよその内容は以下のとおりです。

アタウルフォ・アルヘンタが何回カール・シューリヒトに教えを受けたかは定かではありませんが、 ほんの数回の、いわゆる「授業」とは異なるものであったと思われます。 詳細についても、確かでない点があると思います。
カール・シューリヒトは、アタウルフォ・アルヘンタをまるで息子のように思っていたようです。 両者のオーケストラの指揮には相通じるものがありました。 実際、両者の指揮を目にした人はそう言います。 この点に関して、次のような逸話があります:

ある日、スイスの自宅にいたシューリヒトはラジオをつけました。 ラジオからはヨハネス・ブラームスの「ドイツミサ」の実況放送が聞こえてきました。 シューリヒトはその演奏を聴いて言いました。
「もし私がここにいなければ、このレクイエムを指揮しているのは私だと言えるのだが。」
そして続けて言いました。
「私でないとすると、それはたった一人、アタウルフォ・アルヘンタに違いない。」
実況コンサートが終って、アナウンサーは言いました。
「アタウルフォ・アルヘンタ指揮によるコンサートでした。」


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