アタウルフォ・アルヘンタが何回カール・シューリヒトに教えを受けたかは定かではありませんが、
ほんの数回の、いわゆる「授業」とは異なるものであったと思われます。
詳細についても、確かでない点があると思います。
ある日、スイスの自宅にいたシューリヒトはラジオをつけました。
ラジオからはヨハネス・ブラームスの「ドイツミサ」の実況放送が聞こえてきました。
シューリヒトはその演奏を聴いて言いました。
カール・シューリヒトは、アタウルフォ・アルヘンタをまるで息子のように思っていたようです。
両者のオーケストラの指揮には相通じるものがありました。
実際、両者の指揮を目にした人はそう言います。
この点に関して、次のような逸話があります:
「もし私がここにいなければ、このレクイエムを指揮しているのは私だと言えるのだが。」
そして続けて言いました。
「私でないとすると、それはたった一人、アタウルフォ・アルヘンタに違いない。」
実況コンサートが終って、アナウンサーは言いました。
「アタウルフォ・アルヘンタ指揮によるコンサートでした。」
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