
【表面】
十月廿四日
思ひがけなく故山の病
院に起臥する事とな
つてもう四十日餘り過ぎ
ました。漸く熱も下り
此分に故障さへなけれ
ばやかでは再びもとに
似よつた體になられる
かも知れません。
先日讀賣抄で先生
が仙台地方においでに
なられるのを承知しま
したが、もう其旅はおし
まひになつたのでございま
すか。若しこれからなら
途中一寸この偶然でな
ければ見られぬやうな町
にお立寄り下すつては
いかゞでせうか。とても
おかまひする事は出来
ませんですが……
【裏面】
停車場から此
橋までは僅かに
二丁ばかりだと
思ひます。
さうして私の居
ります病院は
*印の繁み
に隠れてゐる
小高い丘にた
つてゐます。
見えてゐる
いらかは、先生
が名勝地誌?
にお記入にな
つた長録寺
です。
町の賑かな
部分はこの
へんから大分
はなれて
居ます。
病院はステ
ーシヨン前
から見え
るのです。
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