シュトルムの小説で一番有名なのは、おそらく「みずうみ」でしょう
(インメン湖、インメンゼーとも表記される)。
主人公ラインハルトと幼なじみの少女エリーザベトとの淡い恋心の芽生えと進学のための別離。
そして、主人公が社会人になる前に、少女は、やはり彼の旧知の友人と結婚してしまう。
何年かたって、彼は夫妻を訪ねるが、依然として抱き続ける恋心にいたたまれず、
もう二度と会うまいと決意して別れる。
雑な紹介で申し訳ありませんが、こうしたことが老人の回想として
書かれています。これはシュトルムの小説のだいたいのパターンでもあります。
一読されれば、そのロマンチックな内容にうっとりするか、拒否反応を起こすでしょう。
私は、うっとりした方ですが ( ^ ^ ;。
詩人立原道造は旧制一高時代に習った「インメンゼー」に感激して、後に
「萱草(わすれぐさ)に寄す」というシュトルムの影響の強い
叙情詩集を出しており、その冒頭の詩「はじめてのものに」の最後にエリーザベトの名が
出てくるそうです。
彼は、軽井沢で知り合った女性をエリーザベトとかエリザと呼んでいたらしい。
もっと詳しく知りたい方には、人と思想103「シュトルム」(清水書院刊)をお勧めします。
*現在岩波文庫からは、「みずうみ 他4編」だけが出版されています。
参考になるかどうかわかりませんが、私の持っている文庫本のリストです。
シュトルムの本が読みたい!という方は、こちらの本屋さんの独文学のページが便利です。
リンクをご了承いただき、ありがとうございます。
Projekt Gutenberg-DE(ドイツ語) 「みずうみ」をはじめ、14編のドイツ語の電子テキストが読めます(1999年3月現在)。